林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』



前言と矛盾する無反省


林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』は、まさに「あの時、ああ言っていただろう」の責任追及の世界であった。東急不動産住宅事業本部の課長は「裁判所でも、どこでも好きなところへ行って下さい」と言い放った(『東急不動産だまし売り裁判』7頁)。ところが、その後で卑怯かつ愚かにも話し合いを打診してきた(13頁)。当然のことながら、「あの時、ああ言っていただろう」の精神で無視し、東急不動産を提訴しました。
日本の役所や企業は、その場しのぎの発言でごまかし、都合が悪くなると前言を翻す傾向が強すぎる。過去をなかったことにし、やり直したがっているために粘着する東急不動産工作員もいる。自己の過去を反省しなければならないのに、それはないことにして、これからどうするか愚にもつかない考えを巡らす。
日本人全般を見れば「あの時、ああ言っていた」と追及しないで終わらせがちである。だから役所や企業は安心して不正を繰り返すことができる。特に不正を追及するジャーナリストに「あの時、ああ言っていただろう」の精神は求められる。周囲が、そのような方ばかりならば羨ましいほどである。自己の過ちを直視できる人と、都合の悪い事実をなかったことにして話を続ける人は区別して対応したい。

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