林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』



水俣と福島に共通する10の手口と東急不動産だまし売り裁判


アイリーン・美緒子・スミスさんの「水俣と福島に共通する10の手口」は、東急不動産だまし売り裁判にも該当する。「さすが」との評価が納得の普遍性のあるまとめである。
1、誰も責任を取らない/縦割り組織を利用する
東急不動産だまし売り裁判でもマンション分譲主の東急不動産、販売会社の東急リバブル、管理会社の東急コミュニティーで、たらい回しにし、誰も責任を取らなかった。東急リバブル客様相談室の室長代理は「契約相手は東急不動産です。リバブルは東急不動産とは別会社なので無関係だから対応できません」と言い放った。
アスベスト使用の問題では東急リバブルと東急不動産と施工会社のピーエス三菱でたらい回しにした。欠陥施工問題では東急不動産と施工会社のピーエス三菱、設計・監理のSHOW建築設計事務所で責任のなすり合いが行われた。構造設計者の無資格問題ではSHOW建築設計事務所と構造設計のアトラス設計でたらい回しにした(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』99頁以下)。
2、被害者や世論を混乱させ、「賛否両論」に持ち込む
東急不動産の課長は「裁判所でも、どこでも好きなところに行ってください」と開き直った(7頁)。ところが、矛盾したことに隣地所有者に示談の仲介を依頼した(13頁)。林田力が前言と矛盾する言動を無視したことは当然である。東急リバブル・東急不動産は傲慢である。一方で自己の前言を貫くだけの節操にも欠けている。
東急リバブルは裁判中に問題マンションの買い替えを勧めるダイレクトメールを送り付けた(『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』80頁)。東急不動産は和解協議の場で問題マンションの売却による解決を提案してきた(77頁)。林田力が拒否したことは当然である。
3、被害者同士を対立させる
問題のマンションでは東急コミュニティーの管理委託契約違反など杜撰な管理が明らかになり、管理会社変更の機運が高まった。しかし、東急グループ寄りの管理組合役員によって不毛な会議が繰り返されることになる。最終的には東急コミュニティーを解約し、年間約120万円も節約することができた。
4、データを取らない/証拠を残さない
東急不動産だまし売りマンションでは排水通気管の口径が特定の部分のみ細いという欠陥施工が発覚した。施工会社のピーエス三菱と設計・監理のSHOW建築設計事務所で責任のなすり合いが展開されたが、記録を残していないために有耶無耶にできている。マンション売買契約取り消しの正しさを再確認させる欠陥施工である。
5、ひたすら時間稼ぎをする
第一回口頭弁論欠席や中身のない答弁書の提出など東急不動産の時間稼ぎは枚挙にいとまがない。東急不動産の三人いる弁護士の個人的都合によって当事者尋問当日に延期させるという露骨な時間稼ぎを行った(54頁)。その間に東京不動産が行ったことは新たな証拠(乙第13号証)の収集であった(65頁)。
6、被害を過小評価するような調査をする
東急不動産は、販売時は「緑道に隣接するため、眺望・採光が良好!」と日照・眺望をセールスポイントとした。ところが林田力への当事者尋問において東急不動産代理人・井口寛二弁護士は「遊歩道の緑があるわけですか」と分かりきった質問をした(原告本人調書16頁)。愚問の極みである。都合の悪い事実は脳裏の地平線の彼方に放り出すことが東急不動産にとっては精神衛生上最良の方策になっている(原告陳述書(三))。
7、被害者を疲弊させ、あきらめさせる
消費者からの苦情は東急リバブルと東急不動産でたらい回しにする。しかも、東急不動産は裁判中であることを理由にアフターサービスの提供を拒否した。
8、認定制度を作り、被害者数を絞り込む
東急不動産マンションの窓は「眺望、採光、景観等企図していない」と珍主張を展開してまでマンションだまし売り被害を否定しようとした(被告準備書面2005年7月8日)。窓とは「採光や通風のために、壁・屋根などに設けた開口部」であり(『大辞林』)、東急不動産の主張は常識から外れている。
9、海外に情報を発信しない
海外どころか国内でも、直接の関係者にも情報を発信しない。東急リバブル・東急不動産は隣地建て替えという不利益事実を隠してマンションを販売した。東急不動産のマンションにアスベストが使用されていることも伝えなかった。
10、御用学者を呼び、国際会議を開く
東急電鉄・東急不動産主体の二子玉川ライズは住環境や自然を破壊する再開発として住民らから反対運動が起きている。高層ビルの商業施設やオフィスは経済性の観点からも疑問視されている。東急電鉄は幹事会社となって「クリエイティブ・シティ・コンソーシアム」を設立し、乱開発の尻拭いを使用としている(林田力「 クリエイティブ・シティは二子玉川ライズの尻拭いか=東京・世田谷」PJニュース2010年8 月27日)。

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